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新卒と既卒は何が違うのか。言葉の定義を並べた記事は多いのですが、知りたいのは定義ではなく「不利になるのか」だと思います。
大手231社の募集要項を1社ずつ読みました。結論から言うと、既卒だから応募できない会社は9社しかありませんでした。そして、待遇まで新卒と同じだと明記している会社が6社ありました。
この記事でわかること
- 新卒・既卒・第二新卒の使い分け
- 231社のうち、既卒が応募できない会社が何社だったか
- 待遇まで新卒と同じだと書いてある6社
- 選考で実際に違うのは何か
- 既卒のほうが応募できる会社が多くなる場面
目次
先に結論:違いは待遇ではなく、応募できる枠の数
231社を調べて出た数字を先に置きます。
| 調べた結果 | 社数 |
|---|---|
| 既卒の受け入れを確認できた | 183社 |
| 応募資格に既卒の記載がなく、判断できなかった | 32社 |
| 卒業見込みの人だけが対象と読み取れた | 9社 |
既卒だから門前払い、という会社は9社です。231社の4%にあたります。新卒と既卒の差は、思われているより小さいというのが実測の答えです。
ただし、差がないわけではありません。次の3つは確実に違います。
| 違うところ | 中身 |
|---|---|
| 枠の探し方 | 新卒は大学のキャリアセンターや合同説明会から情報が来る。既卒には来ない |
| 締切の把握 | 新卒は周りと同じ時期に動く。既卒は自分で締切を追う |
| 聞かれること | 卒業してから今日までをどう過ごしたか |
調査方法:20業界231社の採用ページ・募集要項を1社ずつ読み、応募資格・応募窓口・締切・初任給を記録しました(2026年9月時点)。
言葉の使い分け
混ざりやすいので、先に整理します。
| 呼び方 | どんな人か | 正社員の経験 |
|---|---|---|
| 新卒 | これから卒業する人(卒業見込み) | なし |
| 既卒 | すでに卒業していて、社員として働いたことがない人 | なし |
| 第二新卒 | 卒業後に就職したが、数年以内に辞めた人 | あり |
既卒と第二新卒を分けるのは、正社員として働いたかどうかです。アルバイトや派遣で働いていた場合は、一般的に既卒として扱われます。
ただし、既卒に決まった定義はありません。マイナビも、用語の解説ページで卒業後1〜3年の範囲に限定される場合が多いとしつつ、決まった定義はないと書いています。会社ごとに条件を読むしかありません。
既卒を受け入れない会社は9社だった
231社のうち、応募資格が「卒業見込みの方」だけで、既卒に開いていないと読み取れたのが次の9社です。
| 企業名 | 業界 |
|---|---|
| ZOZO | IT・通信 |
| メルカリ | IT・通信 |
| EYストラテジー・アンド・コンサルティング | コンサル |
| カルビー | 食品・飲料 |
| キリンホールディングス | 食品・飲料 |
| しまむら | 小売 |
| 東宝 | ゲーム・エンタメ |
| 東映 | ゲーム・エンタメ |
| KNT-CTホールディングス(近畿日本ツーリスト) | 旅行・ホテル |
この9社は、いま募集している枠が卒業見込みの人向けというだけで、既卒を拒否していると書いてあるわけではありません。年度によって条件が変わることもあります。
逆に言えば、残りの222社は、既卒を受け入れているか、少なくとも門前払いではありません。「既卒だから無理」と思って調べるのをやめると、この222社を自分で消すことになります。
待遇まで新卒と同じだと明記している6社
「受け入れてはいるが、待遇は下がるのでは」という不安があると思います。募集要項やFAQに、はっきり書いている会社がありました。
| 企業名 | 書かれている内容(要旨) |
|---|---|
| キヤノン | それ以前に卒業・修了している方も応募できる。新卒者と同じ労働条件 |
| 中部電力 | 卒業・修了された方(就労経験のない方)。処遇は新卒と同じ |
| 三井化学 | 既卒もエントリー可能。入社時期・入社後の処遇は新卒と同等 |
| ビックカメラ | 卒業後3年以内も対象。既卒者は最終学歴により新卒と同額を支給 |
| サイゼリヤ | 既卒も歓迎。既卒者は最終学歴に応じて新卒と同額支給 |
| 日立製作所 | 既卒で新卒同等枠を希望する人も応募可 |
ここに挙げた6社は、わざわざ書いてくれている会社です。書いていない会社が下げているという意味ではありません。ただ、気になるなら、この書き方をしている会社から受けるという選び方はできます。
参考までに、231社のうち月額で初任給を公開していた203社の中央値は290,000円でした。既卒枠であっても、この水準から始まる会社が多いということです。
選考で実際に違うのは、聞かれることだけ
231社の応募資格欄を全部読んで、確認したことがあります。
| 応募資格に条件として書かれていたか | 社数 |
|---|---|
| 卒業後の空白期間・ブランク・その理由 | 0社 |
| インターンシップへの参加 | 0社 |
卒業してから何をしていたかを、応募の条件にしている会社は1社もありませんでした。インターンに行ったかどうかも同じです。
つまり、空白期間があること自体で応募資格を失うことはありません。面接で聞かれはしますが、それは条件ではなく質問です。ここを混同すると、必要以上に自分を不利だと思い込むことになります。
聞かれたときの答え方の軸
既卒になると使えなくなるもの、変わらないもの
在学中に使えていた仕組みのうち、卒業すると使えなくなるものがあります。ここを整理しておくと、何を自分で用意すればいいかがはっきりします。
| 在学中に使えたもの | 卒業後 | 代わりになるもの |
|---|---|---|
| 大学のキャリアセンター | 学校によっては卒業生も利用可 | まず母校に問い合わせる |
| 学内の合同説明会 | 使えない | 会社の公式サイトを直接開く |
| 学校推薦 | 使えない | なし。自由応募で受ける |
| インターンからの早期選考 | 使えない | 応募条件にはなっていないので影響は小さい |
| 新卒応援ハローワーク | 卒業後おおむね3年以内は使える | そのまま使う |
気にしている人が多いのがインターンです。231社の応募資格を全部読みましたが、インターンシップへの参加を条件にしていた会社は0社でした。
早期選考のルートに乗れないという差はありますが、応募する資格そのものには影響しません。「インターンに行っていないから無理」という理由で諦める必要はありません。
締切と情報の入り方が、いちばん大きな差
実際に効いてくるのは、待遇でも選考でもなく、ここです。
| 新卒(在学中) | 既卒 | |
|---|---|---|
| 情報の入り方 | 大学のキャリアセンター、合同説明会、友人 | 自分で探すしかない |
| 締切の把握 | 周りと同じ時期なので気づける | 会社ごとにばらばら。気づかないと終わる |
| 応募の窓口 | 公式マイページ、ナビ | 同じ。ただし探し方を知らないと届かない |
| 相談相手 | 大学の就職課 | いない。自分で作る |
大手の既卒枠は、締切が10月中旬に集中します。新卒なら周りが騒ぐので気づきますが、既卒は誰も教えてくれません。
そして、応募窓口を確認できた大手154社のうち、90社は公式サイト・自社マイページにしか窓口がありませんでした。検索しているだけでは出てきません。会社名を先に決めて、公式の採用ページを直接開く順番にしてください。
統計で見ると、既卒の採用はどれくらい起きているか
231社は大手に絞った調査なので、世の中全体の数字も並べておきます。厚生労働省の調査(令和7年8月)の結果です。
| 調査結果 | 割合 |
|---|---|
| 新卒枠で募集した事業所のうち、既卒の応募を受け付けた | 71%(情報通信業では82%) |
| 応募を受け付けた事業所のうち、実際に採用した | 43% |
この2つを並べると、既卒の実情がよくわかります。門は7割開いている。ただし、開いている門のうち実際に通ったのは4割ちょっと。
つまり、既卒がつまずくのは応募資格ではなく、応募したあとの選考だということです。書類と面接の精度がそのまま結果になります。
ここを一人で直すのは大変です。とくに、卒業してから今日までをどう説明するかは、声に出して他人に聞いてもらわないと直りません。
第二新卒エージェントneo
公式サイトに、対象として「第二新卒・高卒・中卒・既卒・フリーター」と書かれています。面談は東京・大阪・名古屋・福岡の4拠点とWEBから選べ、求人の勤務地は47都道府県から絞り込めます。書類の添削と模擬面接を無料で受けられるので、本命に出す前の練習に使えます。
- できること:書類の添削、面接対策、中小・ベンチャーの求人紹介(無料)
- できないこと:大手183社の新卒枠への応募。そちらは公式マイページから自分で出す必要があります
既卒のほうが応募できる会社は多い
最後に、231社を調べていていちばん意外だった点です。
| 正社員経験なし(既卒) | 正社員経験あり(第二新卒) | |
|---|---|---|
| 応募できる大手 | 183社 | 92社 |
231社のうち91社が、応募資格を「正社員としての就業経験がない方」に限定していました。伊藤忠商事、三井不動産、日本製鉄、JTB、三菱UFJ銀行などが、この91社に入ります。
つまり、一度でも正社員として働くと、この91社には応募できなくなります。既卒であることは、この枠に対しては条件を満たしているという意味になります。
新卒と比べて足りないものを数えるより、いま応募できる183社を数えたほうが早いというのが、調べた側の実感です。
よくある質問
既卒は新卒枠で受けられますか
受けられる会社が183社ありました。多くの大手は、新卒採用の枠に既卒も応募できる形にしています。別枠ではなく、同じ選考に入ります。
卒業して何年までが既卒ですか
会社によります。231社のうち、卒業後3年以内としていたのが71社、卒業からの年数に上限を設けていなかったのが40社でした。4年以内が7社、2年以内が5社、1年以内が5社です。
既卒だと初任給は下がりますか
下がると書いてある会社は見つかりませんでした。逆に、ビックカメラとサイゼリヤは既卒者にも最終学歴に応じて新卒と同額を支給すると明記しています。
アルバイトしかしていなくても既卒ですか
一般的には既卒です。応募資格で使われている「正社員としての就業経験がない方」という書き方には、アルバイトや派遣の経験がある人も含まれます。
まとめ
この記事の要点
- 231社のうち、卒業見込みの人だけが対象だったのは9社
- 待遇まで新卒と同じだと明記している会社が6社あった
- 空白期間やインターン参加を応募条件にしている会社は0社
- 実際の差は、締切の情報が自動で入ってこないこと
- 正社員経験がないほうが、応募できる大手は2倍多い(183社と92社)
新卒と既卒の違いは、能力でも待遇でもなく、情報が自動で入ってくるかどうかでした。ここだけは自分で埋める必要があります。
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